松江数論セミナー

松江数論セミナー







第1回 2018年12月15日(土) 16:30-18:30 (18:00-18:30は質疑応答)

場所: 島根大学松江キャンパス 総合理工学部3号館 6階数理第2総合演習室

講演者:

原 隆 氏 (東京電機大学)

題目:

代数体の非可換岩澤主予想について

概要:

岩澤健吉により提出された円分体の 岩澤主予想は、イデアル類群とゼータ関数の特殊値の間に 横たわる神秘的な関係を記述するものと表現することができるでしょう。 その舞台たる円分拡大の塔を「非可換な拡大の塔」(p進リー拡大) へと 拡張してみると、一体どのような不思議な現象が起こるのでしょうか? それを追究することこそが、今日非可換岩澤理論と呼ばれる分野の 最大のテーマです。本講演では、古典的岩澤主予想の定式化を 振り返ったのち、その主張の非可換拡大への拡張 (非可換岩澤主予想) の 方法を概観します。Ritter, Weiss, Kakde 等が総実代数体の 非可換岩澤主予想を解決した際の戦略にも触れつつ、時間が許す限り、 講演者が最近取り組んでいるCM体の非可換岩澤主予想の現状についても お話しできればと考えております。



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第2回 2019年5月25日(土) 15:30-17:30 (+質疑応答)

場所: 島根大学松江キャンパス 総合理工学部3号館 6階数理第2総合演習室

講演者:

寺井 伸浩 氏 (大分大学)

題目:

指数型不定方程式 a^x+b^y=c^z について

概要:

a,b,c を固定された1より大きい互いに素な正の整数とする. 指数型不定方程式 a^x+b^y=c^z (*) は高々有限個の正の整数解 (x,y,z) を持つことはよく知られている.この不定方程式(*)に関する 「(一般化された)Jesmanowicz予想」「Scott-Styer予想」をまず紹介する. また, a^2+b^2=c^2, a+b=c^2 のときに,不定方程式(*)は,いくつかの 条件の下で,ただ一つの正の整数解 (x,y,z) を持つことをそれぞれ示す. その証明は,「Baker理論」と「一般化されたFermat方程式に関する結果」 による.


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第3回 2019年7月24日(水) 16:30-18:00 (+質疑応答)

場所: 島根大学松江キャンパス 総合理工学部3号館 6階数理第2総合演習室

講演者:

永野 中行 氏 (金沢大学)

題目:

Kneser 条件を持つ格子の保型形式のK3曲面を用いた構成

概要:

Siegel モジュラー形式は、Abel 多様体のモジュライから決まる関数で、整数論で重要です。 2012 年に A. Clingher 氏と C. Doran 氏は、Abel 曲面のかわりに、K3 曲面の周期写像から Siegel モジュラー形式を構成しました。 今回は Clingher-Doran の拡張という立場から、K3 曲面のモジュライの視点に基づいて Siegel モジュラー形式の自然な拡張を与えることを目指します。 今回扱うK3 曲面が与える格子構造はKneser 条件という二次形式の整数論的な条件を満たしており、その性質は鏡映群の良い性質を導きます。 時間の余裕に応じて、幾つかの応用の可能性や、鏡映群の不変式との関係についても紹介したいと思います。


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第4回 2019 年11 月4 日(月) 16:30-18:00 (+質疑応答)

場所: 島根大学松江キャンパス 総合理工学部3号館 6階数理第2総合演習室

講演者:

横山 俊一 氏 (首都大学東京)

題目:

Julia 言語を用いた新しい数論パッケージNemo について

概要:

Nemo とは、ドイツ・カイザースラウテルン工科大学を中心として開発が進め られている、数論パッケージの一つである。既存の数式処理システムとは異な り、動的かつ多重ディスパッチを許容する新しいプログラミング言語Julia を 採用しており、さらにFlint, Arb, Antic といった既存の高速ライブラリを最大限に活用する機構をもつ。 そのため、従来の数式処理システムの実行性能 を大幅に上回ることのできる実装がいくつか存在する。本講演ではNemo ベ ンチマークの相手としてMagma を用い、先にMagma の性能を概説した後、 Magma を上回る(現時点で世界最速の)性能を発揮できるNemo の実装例と その理由を実演を通して解説する。その上で、Magma を超えられない例もい くつか挙げ、Nemo の更なる高速化に向けての展望を(時間の許す限り)お話 ししたい。

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