卒業研究について

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研究室訪問について

研究室訪問を希望される場合は事前にメールで連絡してください。 また、複数回訪問することも構いませんので、気軽に問い合わせてください。

本研究室で対応可能な内容

以下に挙げる内容に関連した教科書を一つ選び、一年間かけて丁寧に学んでいきます。
その他にも希望する内容があれば積極的に対応します。

1. 最適化問題

いくつかの制約のもとで目的関数を最小化する問題を最適化問題といいます。経済学・工学などの実用上の多くの問題が最適化問題として数理モデル化されるため、理論・応用の両面から盛んに研究が成されています。各関数が線形関数である線形最適化問題や、より一般の関数を扱う非線形最適化問題があります。
セミナーで用いる教科書としては以下のようなものがあります。
 
  1. 線形計画法, 並木誠, 朝倉書店 (2008)
  2. 凸解析と最適化理論, 田中謙輔, 牧野書店 (1994)
  3. Generalized concavity, Avriel, M., Diewert, W. E., Schaible, S., Zang, I., SIAM (2010)
  4. Pythonによる数理最適化入門, 久保幹雄(監修), 並木誠(著), 朝倉書店 (2018)

1は線形最適化問題、2は非線形最適化の中でも主に凸最適化問題に関する内容について述べた和書です。
3は、より一般的な非線形最適化に関する洋書です。教員の専門分野に最も近いので、大学院に進学する場合にはスムーズに研究を進めていくことができます。
4について、計算機を用いたプログラミングも(希望があれば)行うことができます。Pythonを用いてアルゴリズムを記述する他、各種ライブラリを用いて最適化を行う手法を学びます。

2. 数理経済学

社会における経済状況を数学的手法を用いて分析する方法について学びます。現代の経済学では数学が広く使われており、応用数学としても非常に興味深い内容が多くあります。
セミナーで用いる教科書としては以下のようなものがあります。
 
  1. ミクロ経済学の力, 神取道宏, 日本評論社 (2014)
  2. ミクロ経済学, 浦井憲, 培風館 (2015)
  3. 金融工学入門, Luenberger, D. G.(著), 今野浩, 鈴木賢一, 枇々木規雄(翻訳), 日本経済新聞出版社 (2015)
  4. ゲーム理論 第3版, 岡田章, 有斐閣 (2021)

ミクロ経済学では、各主体がそれぞれに利潤最大化などの最適化問題を解いた結果としてどのような状態が実現されるか、を標準的な分析の対象としています。いわゆる需要と供給や価格に関する性質が数学を用いて明解に表現されます。
金融工学においては投資を一つのベクトルあるいは数列と捉え、適切な経済活動を行うための方法を学びます。ここでの「適切」とは徒に利益を追い求める方法ではなく、出来るだけリスクを小さくしながら安定的に経済活動を行う方法を考えることが基本になります。また、株式投資の最適化や金融商品の性質についても学びます。
ゲーム理論とは、社会における複数主体の意思決定の問題を数理モデルを用いて分析する理論です。経済学のみならず政治・心理学・生物学等の多くの分野で応用されており、様々な対立状況をより良く見るための道具として必要不可欠なものになっています。
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2024年度卒業研究

2024年度は以下の教科書を用いて、オークション理論・公共経済学・最適化理論・ミクロ経済学・金融工学・ゲーム理論について学習しています。

1. オークション理論の基礎 ゲーム理論と情報科学の先端領域, 横尾 真, 東京電機大学出版局 (2006)

インターネットオークションは近年身近な手段となっていますが、市場におけるせりや美術品の競売などもオークションの実例です。近年では電波オークションと呼ばれる、通信や放送に利用される周波数帯域の割当をオークションを用いて決定する仕組みも諸外国で用いられており、このようなオークションに関する理論の研究を行うのがオークション理論です。ゲーム理論を用いてオークションをゲームとして表現し、社会的に望ましい結果を実現するためのルール設計などが研究されています。
2024年度卒業研究では上記の教科書を用いてオークション理論について勉強しています。 具体的なトピックとしては
 
  1. ゲーム理論の基礎
  2. オークションのメカニズムデザイン
  3. 組み合わせオークション

等があり、オークションをゲームとして表現し均衡を求めたり、より社会的に望ましい結果を実現するにはどのようなルール設計をすべきか等について学びます。

2. 入門 公共経済学, 土居 丈朗, 日本評論社 (2018)

公共経済学とは、政府等の公共部門が行う活動を経済学的に分析する学問です。ミクロ経済学においては厚生経済学の基本定理で示されるように競争均衡はパレート最適になっていますが、現実には定理の仮定が満たされておらず、効率的にならないケースも多くあります。このような市場の失敗と政府の必要性について論じるのが公共経済学です。
2024年度卒業研究では上記の教科書を用いて公共経済学について勉強しています。 具体的なトピックとしては
 
  1. 公共財
  2. 望ましい課税方法
  3. 望ましい財政

等があり、ミクロ経済学で学んだことを基礎としながら、より現実的な状況において政府がどのように行動すべきかについて学習しています。

3. はじめての最適化, 関口 良行, 近代科学社 (2014).

いくつかの制約のもとで目的関数を最小化する問題を最適化問題といいます。高校数学で学習する「2次関数の最大・最小」や「微分して増減表を書くことにより極値を求める」といった問題をより一般的にしたものを扱います。実用上の多くの問題が最適化問題としてモデル化されるため、理論・応用の両面から盛んに研究が成されています。
2024年度卒業研究では上記の教科書を用いて最適化理論について勉強しています。 具体的なトピックとしては
 
  1. 制約付き最適化
  2. 線形計画問題
  3. 変分問題

の3つがあり、それぞれの問題の理論的内容について学習しています。

4. ミクロ経済学, 伊藤元重, 日本評論社 (2018)

ミクロ経済学では、各主体がそれぞれに利潤最大化などの最適化問題を解いた結果としてどのような状態が実現されるか、を標準的な分析の対象としています。消費者が自分の効用(嬉しさ)を最大化した結果として「需要」が発生し、生産者が利潤を最大化した結果として「供給」が決まります。これらが一致するときを「均衡」といい、いわゆる需要と供給や価格に関する性質が数学を用いて明解に表現されます。
2024年度卒業研究では上記の教科書を用いてミクロ経済学について勉強しています。 具体的なトピックとしては
 
  1. 消費者の効用最大化問題
  2. 生産者の利潤最大化問題
  3. 均衡分析

があり、1は消費者の需要がどのように決まるか、2は生産者からの供給がどのように決まるか、3はそれらが一致するときにどのようなことが起こるか、に関する内容です。

5. 金融工学入門, Luenberger, D. G.(著), 今野浩, 鈴木賢一, 枇々木規雄(翻訳), 日本経済新聞出版社 (2015)

金融工学においては「金融・投資における意思決定をどのように行うか」が基本的な研究対象となっています。 徒に利益を追い求める方法ではなく、出来るだけリスクを小さくしながら安定的に経済活動を行う方法を考えることが基本になります。 また、本書の原題は「Investment Science(投資科学)」であり、投資に対して科学的な道具を適用すること、とされています。 この「科学的な道具」とは主に数学のことであり、基本的なものから高度なものまで幅広い数学が用いられています。
2024年度卒業研究では上記の教科書を用いて金融工学について勉強しています。 具体的なトピックとしては
 
  1. 現在価値と内部収益率
  2. ポートフォリオ最適化
  3. 金融商品の価格付け

があり、1は投資をどのように評価するか、2は株式投資の最適化、3はオプションをはじめとする金融商品の理論価格、に関連する内容です。

6. 完全理解 ゲーム理論・契約理論 第2版, 鈴木 豊, 勁草書房 (2021)

社会における複数主体の意思決定に関する状況を数理モデル化したものをゲームといい、選択される戦略やその依存関係を研究するのがゲーム理論です。自分の利益が、自分の行動のみならず他者の行動にも依存する状況を取り扱い、そのような状況でどのように行動するか、またその結果どのような状態が実現するか、について分析します。元々は経済学の一分野として発展した理論ですが、現在では政治・心理学・生物学等の広範な分野で応用されています。
2024年度卒業研究では上記の教科書を用いてゲーム理論について勉強しています。 具体的なトピックとしては
 
  1. 戦略形ゲームとナッシュ均衡
  2. 展開形ゲーム
  3. 具体的な問題のゲーム理論的モデル化

があります。1は標準的なゲームである戦略形ゲームの理論的内容、2はゲームに手番の概念を入れた展開形ゲームに関する内容です。また3においては具体的な状況や問題をモデル化し、ゲーム理論を用いて解や均衡について詳細に分析します。

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Last update: April 5, 2024