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第4回 拡散現象DLAと拡散係数(10月25日)



*出席確認

<出席確認メール> 添付ファイルなし 受付:本日14:30〜16:15

本日のキーワードは授業中に連絡します。


宛先:miwamoto[at]riko.shimane-u.ac.jp

件名:MMM2 20161025

本文: 学生番号 名前 「本日のキーワード」



!!!お知らせ!!!

広島大学理学研究科数理分子生命理学専攻(理学部数学科)の小林亮教授が明日5コマに講演されます。誰でも参加可能ですので、ぜひ聴きに来てください!





粒子のランダムウォーク(2次元)


1次元ランダムウォークモデルと同様に、粒子の2次元ランダムウォークを考える。今、二次元格子状に粒子があるとし、その粒子の運動はでたらめであるとする。つまり、次の時間、右に移動する、左に移動する、下に移動する、上に移動することが同確率で起こるとする。


練習1 前回配布されたプログラムコードrandomwalk.pdeを変更して、2次元上をランダムウォークするプログラムを作成せよ。「randomwalk2」として保存せよ。


練習2 練習1で各方向への移動確率を変化させると運動はどのようにかわるだろうか?実験してみよ。


練習3 練習1を変更して、壁まで行ったときに跳ね返るようなプログラムに変更せよ。


粒子の平均位置




1次元ランダムウォークを考える。初期時刻にN個のすべての粒子が原点にいるとする。

第i番目の粒子のnステップ目の位置を 、1ステップに進む距離を とすると、


 

nステップ目のN個の粒子の位置の平均(平均位置)  は、

 

粒子数Nが十分大きいとき、

 

 


初期位置が原点なので、 である。よって、

 

つまり、粒子の数が十分大きい場合、平均の位置は初期位置から動かない。



練習4 2次元ランダムウォークのシミュレーションで、100粒子が同時にランダムウォークするシミュレーションを完成せよ。ただし、粒子間の相互作用はないと仮定する。この場合,一つの格子上に複数の粒子があってもよい。(粒子同士の衝突などは全く考えない。)「randomwalks2」として保存せよ。


練習5 配布したrandomwalk_avg.pdeを変更して、複数の粒子(例えば1万個)を2次元ランダムウォークさせ、各ステップで全粒子がいる位置の平均を計算するプログラムを作成せよ。


分散と拡散係数


1次元ランダムウォークを考える。初期時刻にN個のすべての粒子が原点にいるとする。

第i番目の粒子のnステップ目の位置を 、1ステップに進む距離を とすると、

 

nステップ目におけるN個の粒子の位置の分散 は、 



 

ここで、

 

Nが十分大きいとき、

 

 

 

よって、分散は、

 

分散は、粒子のばらつき具合を表す。ここで、時間に対するばらつき具合を表すことができれば、粒子のひろがり具合を考えることができる。そこで、

時間変数 を導入する。 

    

 とおくと  

標準偏差 (標準偏差の2乗が分散)は、粒子のひろがり具合を表す指標で、

 

このときDを拡散係数という。

拡散係数は、微分方程式の一つ、拡散方程式の係数である。拡散方程式は偏微分方程式なので、講義の後半でもう一度出てくる。


練習6(発展) 練習5を変更して、半径 の円を描画せよ。


空気中の微粒子の拡散係数は、 である。

サイズ 10m 程度の部屋の端から端まで香水の分子が拡散によって移動するのにどれぐらいかかるか計算してみよう。



デタラメが作り出すパターン(DLA)

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3つ目の動画は、パターン形成の基礎モデルとして有名な DLA (Diffusion Limited Aggregation) である。左下図はしのぶ石(写真はwikipediaから)で石灰表面に生じたマンガンの樹状結晶である。右下図はDLAで作られたパターンであり、大変似ていることがわかる。


    


*DLAのシミュレーション(Simulation)を実行・観察できる iPhone, iPad アプリ TheDLA は、遊びながら,でたらめな運動がどのようにして自然界に見られるような樹枝状の形を作り上げるのかを学ぶことができます。遊ぶには,iPhone , iPad や iPad touch等の iOS 機器が必要です。The DLAの製作者ページはこちら。



DLAは、日本語では、拡散律速凝集とよばれる。律速とは、その現象の時間スケールを決定づけるもっとも遅い事象を指す。拡散律速凝集は、私たちの身の回りにもよく見られる現象である。

例1:電気分解 Zn2+ + 2e- → Zn

硫酸亜鉛(ZnSO4)水溶液に、亜鉛よりもイオン化傾向が小さい金属(例えばシャーペンの芯でOK)を刺して電気を流すと、水溶液中の亜鉛イオンは、電子e-を受け取って亜鉛となる。このとき、水溶液中をランダムウォークしている亜鉛イオンが、シャーペンの芯にランダムにくっつきながら成長していくため、下のような樹状パターンができる。




例2:枯草菌のコロニーパターン(写真はFujioka & Matsushita, 1989)

真性粘菌である枯草菌は、飢餓状態の時に凝集しパターンを作る。





DLAのアルゴリズム

では、どのようにしてDLAパターンは作られているのか。それはとても簡単で、ランダムウォークしている粒子が種粒子にくっついていく、というだけである。

生物の模様と数理モデル.001


種粒子とよばれる粒子が平面上にあって固定されているとする(水色)。そこから少し離れたところにランダムウォークする粒子を(たくさん)置く(赤色)。この粒子を自由粒子とよぶ。

このランダムウォークする自由粒子は平面上を動き回り、たまたま種粒子の隣にくる場合があるでしょう。種粒子の隣に自由粒子がきたら自由粒子は種粒子に付着するとし、それ自身が種粒子と同等の粒子となるとする


本日の課題 DLAパターンのシミュレーションを作り、「dla_学生番号」として保存せよ。


本日の課題(発展・次回予告)アリの行動をシミュレーションするにはどうすれば良いか考えよ。

ランダムウォークを利用した蟻の行動

餌を探しに出た蟻はどのようにして巣に帰るのか?という疑問に対して次のような観察結果がある。

  • 蟻は巣から出て、餌を探す時にはランダムウォークする。
  • 巣に帰るときには何故か巣の方向に向かってほぼ一直線に戻る。


さらに観察すると、次のような事実がわかるという。

  • 蟻は餌を求めるためにランダムウォークで動き回るが、動いたところにある種の化学物質(フェロモン)をつけて、足跡を残す。
  • (餌を見つけるか、あるいはあきらめて)巣に帰るときには、付けた化学物質(足跡)の多い方へ向かって進む。(このとき、餌を見つけた蟻はそのことを知らせるために、別の異なる化学物質を足跡としてつける。)


(注意)蟻と言えば蟻の行列を思い浮かべる。上記の話は、行列を作る前の話である。次の様に考えられている。蟻は餌を探す時には上記の様なランダムウォークを行う。そのとき足跡フェロモンを分泌する。餌を見つけると、上記のようなルールで巣に戻るのであるが、そのときには道しるべフェロモンという別の物質を分泌し、巣に帰った後にその道しるべフェロモンをたどることで餌の場所に行列をつくりつつ、さらに道しるべフェロモンを強化すると言われている。