第8回 フーリエ級数展開 (6月2日)


レポート課題について


純音と楽音


入力例1(純音)

f[t_] := Sin[2 Pi 400 t]

GraphicsGrid[{{Play[f[t], {t, 0, 1}], Plot[f[t], {t, 0, 0.01}]}}]

音叉や時報のように、一つの正弦波(単振動)からなる音は純音という。入力例1は周波数が400 Hzの純音である。

楽器や人の声で奏でられる、音楽の音は、楽音と呼ばれる。楽音は規則的な振動を持っているものの中で純音を除いたものである。

入力例2(楽音)

g[t_] := Sum[f[n t], {n, 1, 10}]

GraphicsGrid[{{Play[g[t], {t, 0, 1}], Plot[g[t], {t, 0, 0.01}]}}]

楽音は、正弦波の集合に分解することができる。その集合の中で、もっとも周波数が小さい基本音が音の高さを決め、基本音の周波数の(正の)整数倍の周波数を持つ倍音の集合が音色を決める。入力例2は入力例1と同じ高さの楽音である。




関数の近似
テイラー(整級数)展開とフーリエ級数展開


テイラー展開は、ある点を中心に、関数をべき級数(多項式)で近似するものであった。テイラー展開ができるのは、

・関数が である
・テイラー級数が収束する(剰余項
は のとき、 となる)

などの条件があり、級数が収束する半径を収束半径という。例えば、 

 

のようにマクローリン展開できるが、その収束半径は1である。それはグラフからも明らかである。

テイラー展開は、解析が複雑な関数を、解析が用意な多項式に近似できるのでとても便利である。しかし、関数が無限回数微分可能である必要があるため、不連続な点があればその範囲は近似できない


入力例3
(テイラー展開)

Series[Exp[x], {x, 0, 10}]

入力例3は、 を の周りで10次の項までのテイラー展開(マクローリン展開)である。



課題1   を の周りでテイラー展開せよ。

課題2  や をマクローリン展開せよ。


フーリエ級数展開は、複雑な周期関数を正弦波と余弦波の和で近似するものである。

    

 や ( は整数)は、

 

 

となるので、周期 の周期関数である。


このような周期 の関数をそれぞれ定数倍して足しあわせても周期 の周期関数である。例えば、次のグラフは周期 を持つ のグラフである。


つまり、 や ( は整数)を定数倍して無限個足しあわせた

 

も、周期 の周期関数である。


フーリエ級数展開

周期 を持つ周期関数 は次の級数の形で書くことができる。

定数成分 と、基底振動 と高周波の合成でかけたことになる。

 が「第1種不連続点のみを持つ区分的に連続な関数」であるとき、フーリエ級数は収束する。ただし、不連続点では、右極限と左極限の平均値に収束する。


Mathematicaでフーリエ級数展開してみよう。

入力例4
(フーリエ級数展開)

FourierTrigSeries[t, t, 5]

  で定義される   

フーリエ級数展開では、周期 (今は )の関数として拡張し近似する。

入力例5

Plot[{%, t}, {t, -3 Pi, 3 Pi}]

入力例4は を まで近似したものである。どんなグラフになるか入力例5で確認しよう。


課題3   で定義される次の関数をフーリエ級数展開せよ。

(1)  

(2)  

(3)  

(4)  

課題4   で定義される をフーリエ級数展開せよ。
(ヒント:絶対値はAbs[ ])


課題5(発展)   をフーリエ級数展開せよ。

(ヒント:UnitStep[ ]を調べよ。)


フーリエ級数展開の各係数の求め方


Mathematicaを用いて、フーリエ級数展開すると、 のみの和(定数項含む)や のみの和で表されることがあるのがわかる。

 偶関数( )ならば、 

 奇関数( )ならば、 

と表される。

では、 や はどうすれば計算できるだろうか。


 の求め方

フーリエ級数

の両辺を範囲 で積分すると、

 

            

            

         

                                                  

よって、

 

と計算できる。

例えば、  (課題3(1))のとき、

 

   

                 

 

                                                                  


< の求め方>

フーリエ級数


の両辺に をかける。

 

両辺を範囲 で積分すると、

 

            

      

                   

             

ただし、

 

を用いた。なお、


である。

よって に を代入して、

 

と計算できる。

例えば、  (課題3(1))のとき、

 

     =(部分積分2回)

 

             

となるので、係数は、 と計算できる。


課題6  を求める方法を導け。(ヒント:両辺に をかける)