第5回 微分方程式の復習と単振動(5月12日)

前回、レポート課題が出ました。締切までに提出してください。


訂正:問題1 .pdfには図は貼り付けなくて良いです。.nbファイルで確認します。

「… 軸に描いたグラフをMathematicaで作成せよ(図を必ず載せること)。パラメータA, ω, k, x0 には…」



Wolfram Mathematica 実践セミナー

5月18日(水)

7、 8限:第1部 初心者向け

9、10限:第2部 皆さん向け

両方参加OKです。


出席確認+セミナー参加確認+レポート提出練習
(レポートを提出する予定の人は必ずメールを送ってください。)

本日18時までに本日の課題4(他のものが書いてあっても良いが、課題4がどこかわかるようにしておくこと)を行ったMathematicaのノートブックファイルを、メールにて提出してください。

件名「MMM1 0512 学生番号」

本文「セミナーに参加します(or しません or 考え中です)。」

メールは大学メールからのみ可。
ファイル名は「0512_学生番号.nb」としてください。
ファイルをメールにうまく添付できなかった場合は、メールの本文に必ず書くこと。


微分方程式の復習

 未知の導関数が方程式に含まれているとき、微分方程式(differential equation)という。微分方程式の解は、一般にただ一つというわけではない。線形微分方程式(linear differential equation)とは、微分方程式が次の線形性の条件が満たされているときをいう。

・方程式の解の1つを としたとき、この解に定数 を乗じた もまたこの方程式の解である。
・方程式の2つの解
  があるとき、この2つの関数の和 もまた方程式の解である。


微分方程式で表される現象の例:放射性炭素による年代測定

 放射性炭素による生物(木など)の年代測定は、Willard. F. Libbyが1940年代後半に開発した方法であり、1960年にノーベル化学賞を受賞した。炭素の同位体は12C、13C、14Cの3種類存在するが、それぞれ大気中の存在比率は、99 %、1 %、10-12 %である。14Cは放射性同位体(ある元素の同位体で放射線を放出して崩壊する)で、 崩壊し安定な14Nになることが知られている。宇宙線に含まれる中性子と窒素原子核の衝突によって生じる14Cの量と崩壊する14Cの量が釣り合って平衡状態になっているため、空気中の14C濃度は一定である。また、木が生きている間は光合成を介し二酸化炭素の形で14Cが取り込まれるため、木に含まれる14Cの比率は大気中と同じ(一定)である。しかし、木が死ぬと、木に含まれる14Cは崩壊する(減少)のみとなる。

 放射性同位体原子は、環境によらず単位時間に一定の比率で崩壊して安定な原子になる。時刻 における放射性同位体の原子数を 、崩壊の割合を とすると、微小時間 の間に崩壊する原子数は 
よって、時刻 の原子数は、



変形すると、

 

 のとき、

 

となり、1階常微分方程式が導かれる。 は崩壊定数と呼ばれる。


変数分離型の微分方程式の解法

 を満たす を求める。

  ….(i)

 のとき、 なので、(※)の両辺を から まで積分すれば良い。実際の問題では (時刻 )の値 を与えられることが多く、 を初期条件という。

練習課題1 放射性同位体崩壊のモデル方程式  について、初期条件 とするとき、微分方程式の解を求めよ。


半減期

放射性同位体原子の数が半分になるのにかかる時間を半減期という。この半減期の性質から生物の年代測定が行われる。

練習課題2 崩壊定数 と半減期 の関係を導き、14Cの半減期が5730年であるという事実から崩壊定数 を求めよ。また、サンプル木炭の14C含有量が生きている木の1/10であったとき、この木炭のどれほど古いか。

練習課題3 次の微分方程式を解け。

(1)  ,   

(2) 

(3)  

(4)  

(5)  

(6)  


Mathematicaで1階常微分方程式を解く

入力例1

DSolve[y'[x] + y[x] == 1, y[x], x]

初期値が与えられていない微分方程式の場合は、解に積分定数が現れる。

入力例2

DSolve[{y'[x] + y[x] == 1,y[0]=1}, y[x], x]


初期値y(0)=1を指定する場合は、複数の方程式を解く場合と同様に{ }でくくる。




音波と単振動

 媒質が平衡状態から変位するとそれを戻そうとする力(復元力)があることにより波が生じる。その最も単純な例が1個の粒子の変位に比例した復元力による単振動(simple oscillation)である。質点が定点からの距離に比例する力を受けて振動する系を調和振動子といい、もっとも簡単な調和振動子は単振動である。質点とは、質量はあるが大きさが無視できる物体のことである。

 単振動をする簡単な力学モデルが左図のバネを通して壁と結ばれた質点の運動である。今、床との摩擦は無視できるものとし、質点はある直線に沿ってのみ運動するものとして、その直線を 軸に選ぶ。


 おもりを床の上の適当な位置に置くとおもりは静止する。この時のおもりの位置をつり合いの位置、ばねの長さを自然長という。ばねを自然長より長く(短く)すると、ばねは縮んで(伸びて)自然長に戻ろうとする。これが復元力である。この復元力 は、つり合いの位置からの変位を として、

 

と表すことができる(フックの法則)。 はばねによって決まる固有の定数でばね定数と呼ばれる。


単振動方程式

ばねの自然長からの質点の変位を とすれば、ばねによる復元力は であるので、質点のNewtonの運動方程式は

 

で表される。ここで、質点の速度は であり、加速度は である。両辺を で割ると、

 

このとき、 とすると、

 

となり、単振動は最も簡単な2階常微分方程式であることがわかる。


課題1 単振動の方程式が線形微分方程式であることを示せ。


2階斉次常微分方程式の一般解

 2階斉次常微分方程式(2階微分を含む式=0の形)は線形微分方程式なので、2つの1次独立な解  をそれぞれ定数倍した和  (ただし、 は定数)もその解になる。この解は、 の値によらず微分方程式の解になっており、また、この方程式の解を全て含んでいるため、一般解(general solution)と呼ばれる。また、 任意定数という。この一般解を構成するときに用いた二つの解  基本解という。基本解は互いに一次独立な解をとる必要がある。


単振動の一般解

 単振動の微分方程式 を満たす1次独立な解として、  がある。つまり、単振動の微分方程式 の一般解は、

 

である。ただし、 は任意の定数とする。


課題2 初期条件  を満たす解を求めよ。


課題3  が保存量である( によらない)ことを示せ。


位相と固有振動数

 一般に、 という関数があるときに 位相という。通常位相はラジアン(radian)を単位として測る。

 

において、 のとき、位相は なの 初期位相という。また、 角振動数という。一回転は ラジアンに等しいため、  (秒)を周期として、

 

である。振動数 は、1秒間あたりの振動の回数なので

 

である。 なので、おもりの振動数 は、ばね定数とおもりの質量を使って、

 

と表される。
 単振動の振動数は、調和振動子を特徴付ける質量とばね定数のみで決まり、振幅や初期位相によらないため、この振動数を調和振動子の固有振動数という。調和振動子に限らず、楽器などの振動する物体はそれぞれ固有振動数を持っている。

課題4 次の2階微分方程式をMathematicaを使って解け。初期条件がある場合は解を、ない場合は一般解を求めよ。

入力例3:ヒント

DSolve[{y''[x] + 3y’[x]-4y[x] == 0, y'[0]==1, y[0]==1}, y[x], x]

(1)  

(2)  

(3)  

(4)  

(5)  

(6)  



[補足] 2階斉次常微分方程式の解法と特性方程式

 のとき、 とおく。

 なので、

 

よって、 が満たすべき方程式は、

  (特性方程式)

単振動の微分方程式 は、 なので、 とおくと特性方程式は、

 

 について解くと、

 

よって基本解は、  である。

[復習] オイラーの公式