第4回 波動方程式の導出(4月28日)


はじめに

 第1回レポート課題を出題します。時間は十分にあると思いますので、しっかりと取り組んで、提出期限までに提出してください。

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気体中の音の伝播

 私たちが普段聞いている音は、空気を媒質とした音波であり、音源の振動によって生じた空気の疎密が伝播したものである。先に述べたように、音波(疎密波)は縦波である。サッカースタジアムで観客が盛り上がるためにするウェーブは、一人ひとりは上下方向に動きその動きが横に伝播していくので横波である。一方、縦波は、行列に並んでいる一番後ろの人が前の人をどん、と押した時に、その衝撃の波がどんどん伝わっていく状況のようなものである。

 空気は弾性体であり、圧縮されて密になると圧力(音圧)が上がり、それがまた隣の媒質へと力が及ぼされて連鎖的に伝わっていく。縦波は、左の図のように、媒質を質点として、媒質同士がバネで繋がっているようなイメージである。



では、媒質の微小な部分を取り出して考えてみよう。


上図のように、点P (座標
 )と点Q (座標 )、断面積 の円筒に囲まれた気体の運動を調べよう。時刻 のとき、PQに囲まれた微小な円筒部分には媒質が満たされているとし、音波によって のとき、P’Q’に変位したとする。ここでPの変位を 、Qの変位を とすると、

  ならば、体積は増加(膨張)して圧力は下がり

  ならば、体積は減少(圧縮)して圧力は上がる

  ならば、円筒は右か左に移動しただけで、体積の変化はなく圧力も変動しない。


体積弾性率

 空気は圧縮すると元の大きさに戻ろうとする。波の速さは「空気が元の体積に戻ろうとする力」と空気の「密度」で決まる。ここで、元の体積に戻ろうとする力を表す量として体積弾性率がある。体積弾性率とは、「発生する圧力÷体積の変化率」で表される。言い換えれば、「発生する圧力=体積弾性率×体積の変化率」と表されるので、バネにより発生する力がバネ定数と質点の変位の積で表されるフックの法則にとてもよく似ている。

つまり、気体が膨張することによる圧力の微小変化 は、気体の での体積を 、体積の微小変化量を とすれば、

 

と表される。ここで、 は体積弾性率(bulk modulus)である。体積が増えると圧力は下がるので、負符号となる。


圧力変化と空間偏微分

 ここで、PQの長さ は、 であり、P’Q’の長さ は、 である。



よって、体積変化は、断面積を として、

 
                         




体積の相対変化量 は、 であることに注意して、

 

       

ここで、 とすれば、

 

              

                                           

 

つまり、

 


気体の運動方程式


次に、PQの部分の気体の運動方程式を導く。この気体は、左の図のように、両面から圧力が作用している。P点での増加圧力を 、Q点での増加圧力を とすると、P点では正方向に、Q点では負方向に力がかかっているので、この部分の気体に対する力 は、


 

                 

と表すことができる。

一方、媒質の密度を とすると、円筒の質量 は、密度と体積の積で表されるので、

 

ここでニュートンの運動方程式( )を考えると、加速度 は時間に対する2階微分であるので、

 

                      

 

 とし、

 

 であることを用いて、

        

 

ここで、 とすると、

 

を得る。これは1次元波動方程式(1-demensional wave equation)とよばれ、1次元の波の伝播を支配する方程式である。この方程式の係数cは気体中の音波の伝播速度(propagation velocity)である。


課題1  が、波動方程式の解となっていることを確かめよ。