第3回 音の仕組みと方程式、レポートの書き方(4月21日)

はじめに

  • Wolfram Mathematicaを起動する→第2回を参照
  • Wolfram Mathematicaの個人PCへのインストール→総合情報処理センターの1階事務室へ

出席確認&アンケート (大学メールからのみ。10時15分〜11時半まで受付)

  • デスクトップのoffice365を開く (参考 ウェブメールサインイン方法
  • 岩本( miwamoto[at]riko.shimane-u.ac.jp )宛に今すぐメールをしてください。
  • 件名「MMM1  学生番号」(MMM1が抜けていると受付されません)
  • 本文にはアンケートの回答学生番号・名前を書いてください。


レポートの書き方(準備)

レポートは、 で作成したpdfファイル(場合によってはノートブックファイルも)のみ提出を受け付けます。 によるレポートの書き方はこちら


音とは

DensityWave

音とは、振動である。
 例えば、太鼓を叩いた時に、その音が人の耳まで届いた、という現象を考える。叩かれた太鼓の皮は、へこんだり膨らんだりを繰り返す。すると、太鼓の周りを満たしている空気も引き伸ばされたり押されたりするのである。その結果、空気の密度が疎になる部分と密になる部分ができる。このような空気の
疎密波が音の正体である。
 この場合、空気は音を伝える物質であり、
媒質(medium)と呼ばれる。媒質は空気に限らず、その他の気体や液体、固体でも良い。


縦波と横波

 波といえば、池に石を投げた時に広がる波紋をイメージしやすい。このとき、水面が上下することで生じる山と谷が周囲に伝播していく。ある一点で見ると、媒質の運動は上下に動くのみである。こうした波は、波の進行方向と垂直の方向に媒質が振動するため、横波呼ばれる。
 一方、空気中を伝わる
音は縦波である。ある一点で見ると、媒質は波の進行方向に向かって、押されたり伸ばされたりして移動する。このように波の進行方向と同じ方向に媒質が振動する波を縦波と呼ぶ。


lateralwave


音の速さ

 音の速さを決めるものは、媒質である。空気中(0 ℃・1 atm)であれば約331.5 m/sになることが知られている。さらに、この空気中の音速は温度に依存し温度が1 ℃上がることに約0.6 m/s速くなるのであった。実際、空気中の音速を決めているのは、空気の密度一定体積あたりの質量。温度に依存と弾性率である。弾性率とは、硬さの尺度のようなもので、一定の量を変形させるために必要な力で表される。音速 は、弾性率 を密度 で割ったものの平方根で表される。

 媒質によって音の速さは変わり、気体<液体<固体の順で速くなる
 空気 約340 m/s (常温。密度:1.2 kg/m
3 弾性率:14 ×104 Pa)
 水  約1500 m/s (常温。
密度:1000 kg/m3 弾性率:2.2 ×10Pa)
 木  約4000 m/s 
(常温。密度:300〜800 kg/m3 弾性率:3.7〜10 ×10Pa)
 鉄  約5300 m/s 
(常温。密度:7860 kg/m3 弾性率:220 ×109 Pa)

固体中では、縦波に加えて横波も伝播される。これは、固体にはずり弾性が存在し、せん断力(面に対して平行な方向にかかる力)を伝えることができるためである。例えば、地震の時の振動は、P波 (Primary wave or Pressure wave)とS波 (Secondary wave or Shear wave)の2種類の波で伝わる。横波のS波は、縦波のP波よりも伝播速度が2/3程度なので、P波が先に伝わってくる。


縦波と正弦波

 実際の物理現象を考えると、音は縦波で表現するのが適切である。しかし、縦波の表現では、大まかな傾向はわかっても、音の特徴を詳しく観察することには適さない。そこで、横軸に時間を、縦軸に音圧を使って、横波として表すことにする。音圧とは、ある点での媒質の時間変動と考えてよい。音の疎密波は、大気圧からの圧力変動であるとも言えるので、その変動分を音圧と呼ぶ。
 ある一点で媒質(空気)の様子を見てみると、
密(音圧が高い)状態から、徐々に引き伸ばされて疎(音圧が低い)状態になり、それを繰り返す。つまり、時間に対して音圧の様子をグラフにとると正弦波のようになる。


音の高さ

時間を横軸にとり、音圧を縦軸にとると次のような正弦波になる。

波が1回振動するのにかかる時間を周期という。周期の単位はs(秒)で表す。音の高さは、振動の繰り返し回数によって決まり、周期に反比例するため、周期の逆数として定義される周波数(振動数)で比較する。周期を  s、周波数を  Hz (ヘルツ)とすると、

という関係である。周波数は、1秒間あたりの波形の繰り返し回数であり、周期が短いと1秒間の振動数が多くなるので周波数は大きくなり、正弦波の音は高くなる。簡単に言うと、1秒間に1000回振動すれば1000 Hzである。

 振幅を 、周波数を とすると、音圧の関数 は次のように定義できる。

注意:Mathematica では「振幅」という言葉を通常の物理の本で採用されている意味 (もっとも大 きく振れた幅、変位の絶対値の最大値) とは異なる意味で用いている。

"文献によっては, 振幅は音のピーク信号強度と定義するものもあるが, 本書では, 常に, 時間の関数である瞬間的な信号強度とする.” (Mathematicaマニュアルより引用)


Mathematicaで音を出してみよう


入力例1

Play[Sin[2*Pi*440*t], {t, 0, 1}]

Play[ ]に、音圧の時間t(単位は秒)に関する関数を入れると、音を鳴らすことができる。使い方はPlot[ ]に似ていて、変数tの範囲を指定する。ここでは、tは時間なので、入力例1は1秒間音が鳴る。

入力例2

Play[Sin[2*Pi*440*t], {t, 0, 1}, SampleRate -> 44100]

デフォルトのサンプリング周波数(SampleRate)は8000 Hz = 8 kHzである。音楽CD品質のサンプリング周波数44.1 kHzにするには、オプションで指定する。
*サンプリング周波数とは、アナログ信号をデジタル信号に変換するときの単位時間当たりの標本化(サンプリング)回数。



可聴範囲

 光も音も波である。紫外線や赤外線のように波長が短すぎる(紫外)色と長すぎる(赤外)色は我々人間には見えない。色と同様に、音にも聴こえる範囲があり、可聴範囲は、生物ごとに異なる。人間の可聴範囲は、20 Hzから20000 Hz(=20 kHz)までで、20 kHz以上を超音波、20 Hz以下を超低周波音という。20歳を超えると、加齢とともに聴力が低下し、特に高周波数の音が聞こえにくくなる。
 イヌやネコは、20 kHz以上も聴こえ、約50〜65 kHzくらいまで聴こえるようである。超音波でコミュニケーションを取っていると言われているイルカやコウモリも約100 kHz〜150 kHzまで聴こえる。

課題1 周波数を変更し、音の高さを変えてみよう。

入力例3
fの値を変えてみよ。

f = 20;
Play[Sin[2*Pi*f*t], {t, 0, 3}, SampleRate -> 44100]

f = 20 (Hz) 聞こえない
f = 27.5 (Hz) ピアノの一番低い鍵盤
f = 4096 (Hz) 
ピアノの一番高い鍵盤
f = 440 (Hz) 時報のピ
f = 880 (Hz) 時報のポーン


課題2(ちょっと遊んでみる)

入力例4

x0 = Table[0, {t, 0, 0.8, 0.000125}];

x1 = Table[Sin[2 Pi 440 t], {t, 0, 0.2, 0.000125}];

x2 = Table[(-0.5 t + 1)* Sin[2 Pi 880 t], {t, 0, 2, 0.000125}];

ListPlay[Join[x1, x0, x1, x0, x1, x0, x2], SampleRate -> 8000, 

 PlayRange -> All]

Mathematicaで音を出す方法はいくつかある。ドキュメントセンターでサウンドを調べてみると良いでしょう。

以下のプログラムも試してみよう。

入力例4−1:WolframAlpha["c-major scale", IncludePods -> "MusicNotation”]

入力例4−2:WolframAlpha["c-major scale", {{"MusicNotation", 1}, "SoundData”}]

入力例4−3:Sound[Table[SoundNote[i], {i, 0, 12}], 1.5]



純音と複合音

 正弦波の音は単純なものだが、どんな複雑な音であっても、大小様々な正弦波の重ね合わせによって合成できる。入力例1〜3のように、一つの周波数成分しか含まない正弦波の音を純音と呼ぶ。純音は、音の中では特殊なものであり、普段耳にする音は、ほとんどの場合、複数の周波数を含んでいる。複数の周波数の正弦波を重ね合わせた音を複合音という。

入力例5

data = SystemDialogInput["RecordSound"]

実際の音を録音して、その波形を見てみよう。

音の波形は、単純な正弦波ではなく、とても複雑である。


課題3(発展) 様々な音を録音し、その波形を見てみよう。


正弦波の重ね合わせ

 複数の正弦波を重ね合わせると、波形は複雑に変化する。どのような波形になるかは、どのような正弦波を組み合わせたかによる。今後、音の成分を分析し、どのような正弦波が組み合わさってその音が作られているかを解析していくが、まずは、正弦波を重ね合わせることでどのような波形になるのか、幾つかの例を知っておこう。

入力例7

Plot[Sin[2 Pi 500 t] + Sin[2 Pi 1000 t], {t, 0, 0.008}]

500 Hzの正弦波と1000 Hzの正弦波を重ね合わせると波形は周期的になる。



課題4 500 Hzの正弦波と1375 Hzの正弦波を重ね合わせたグラフを描こう。


入力例8
(重ね合わせの音)

Play[Sin[2 Pi 500 t] + Sin[2 Pi 1000 t], {t, 0, 3}]

入力例9
(基本音)

Play[Sin[2 Pi 500 t], {t, 0, 3}]

 周波数が整数倍の関係になっている複数の正弦波を重ね合わせると、波形は周期的になる。こうした波形の周期を基本周期、その逆数を基本周波数と呼ぶ。基本周波数の正弦波の音を基本音、その整数倍に当たる周波数の正弦波を倍音と呼ぶ。入力例7の波形は、基本周期が0.002 sなので、基本周波数は1/0.002 = 500 Hzである。

基本音は音の高さ、倍音の配合比率は音色に対応する。こうした特徴を調べることで、音を科学的に観察できる。



課題5 次のような倍音の重ね合わせの音を考える。

 

f = 500 Hzとして、Plot[ ]でグラフを描いてみよう。一つずつ波を重ねあわせていくと波形はどうなっていくだろうか。Play[ ]で音も聞いてみよう。


課題6 次のような倍音の重ね合わせの音を考える。

 

f = 500 Hzとして、Plot[ ]でグラフを描いてみよう。一つずつ波を重ねあわせていくと波形はどうなっていくだろうか。Play[ ]で音も聞いてみよう。


課題7(発展) Mathematicaでは音色を指定して音を鳴らすこともできます。ドキュメントセンターでSoundNoteについて調べてみよう。