
2015年度松江セミナー
講演者 | 題目 | 日時 | 場所 | |
第1回 | Inge Koch 氏 (School of Mathematical Sciences The University of Adelaide, Australia) |
Optimal Partitioning of Quadratic Forms for Multivariate Data | 4月22日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 三号館六階 数理第一総合演習室 |
アブストラクト: pdfファイル | ||||
第2回 | 福田 尚広 氏 (松江工業高等専門学校数理科学科) |
On the construction of wavelets and its application to numerical analysis of differential equations | 5月20日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟7階 数学第2セミナー室 |
アブストラクト: ウェーブレット理論は1980年代に登場した数学の分野で,現在でも,理論・応用の両分野において急速に進歩してきている.本講演では,ウェーブレット理論についての基本的な概念,および,ウェーブレットの構成とその微分方程式の数値解析への応用に関する,講演者のこれまでの成果について報告する. | ||||
第3回 | 山内 卓也 氏 (鹿児島大学) |
Artin 表現に付随する保型表現について | 6月22日(月) 12:45-14:15 |
総合理工学部 三号館六階 数理第一総合演習室 |
アブストラクト: 代数体の絶対ガロア群の複素係数有限次表現(表題のArtin表現)にどのような保型表現が対応するか、その特徴付けを幾つかの場合について概説する。 | ||||
第4回 | 佐野 昂迪 氏 (慶応大学) |
Rubin-Stark元の数論的性質と同変玉河数予想 | 6月23日(火) 10:15-11:45 |
総合理工学部 三号館六階 数理第一総合演習室 |
アブストラクト: Rubin-Stark元は代数体のL関数のs=0での値から定まる元で、ある「代数性」を持つことが予想されている(Rubin-Stark予想)。本講演では、Rubin-Stark元がもっと強い「数論性」を持つことを予想として定式化する。より詳しく述べると、代数体の有限次アーベル拡大K/kを考え、そのガロア群をGとしたとき、Rubin-Stark元を用いてZ[G]のイデアルを構成し、そのイデアルが「整Selmer群」の高次Fittingイデアルと一致するという予想を立てる。この予想が同変玉河数予想から導かれることを証明し、特にk=Qの場合には正しいことを証明する。時間があれば関連する話題や最近の進展についても述べる。本講演の内容はDavid Burns教授と栗原将人教授との共同研究である。 | ||||
第5回 | Rui Shi 氏 (大連理工大学) |
A brief introduction to K-theory for C^{\ast}-algebras | 8月24日(月) 13:30-15:00 |
総合理工学部 1号館7階 数学第2セミナー室 |
アブストラクト: | ||||
第6回 | 谷口 哲至 氏 (広島工業大学) |
ホフマングラフ理論の発展と松江セミナー | 9月9日(水) 15:00-16:00 |
総合理工学部 1号館7階 数学第2セミナー室 |
アブストラクト:
松江セミナーには2009年からお世話になったと記憶している.昨年9月に広島工業大学に赴任するまでおよそ5年半お世話になった.島根県という土地柄か,情報・動機を得ることが困難な中,他分野の話を聞くという半ば我慢大会の様なセミナーに参加し続けた.そのお陰で,通常恵まれた環境では得られることはなかったであろう見識を広げることができた.また,他分野の多くの研究者とも知り合いになれた.組合せ論はあらゆる数学の共通部分と言っても過言ではないと,ある偉い先生から話をして頂いた.本セミナーでその言葉を思い出すに至る.多方面から自らの研究分野を眺めることが可能になり,得難い経験をさせて頂いた. 本講演で対象となるホフマングラフの考え方はルート系理論との接続が欠かせない.このルート系や幾何的な考え方について知識を深めることが出来たのは,他分野の研究者の容赦の無い指摘と空気を読まない厳しい御意見あってのことと思われる.ホフマングラフはグラフの最小固有値の階層構造を解明する上で重要な概念である.このホフマングラフの最小固有値が−3以上の場合について,山陰で過ごしていた期間に大きく進展があったので,本講演ではこの内容と共に松江で過ごした期間の思い出も重ねて話をしたい. |
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第7回 | 瀬戸 道生 氏 (島根大学) |
グラフ準同型写像の函数解析学的研究 | 9月9日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 1号館7階 数学第2セミナー室 |
アブストラクト:
グラフを線型代数と関連させて研究する際,フレームを用いるといろいろ便利だということに最近気が付きました.フレームとはウェーブレット理論の用語で“一次独立でない基底”のことです(こんなことを大学院入試の面接やセミナー中に口走ると大変なことになりますが).例えば,$G_1,G_2$ をグラフ,$\varphi: G_1 \to G_2$ を単射なグラフ準同型写像とするとき,通常 $G_2/G_1$ は意味を持たない記号ですが,ヒルベルト空間の埋め込み理論を援用すると$G_2/G_1$ の線型空間表現とみなせるようなヒルベルト空間を構成することができます.そして,そのヒルベルト空間の元はフレームを用いて表されます. 注意:タイトルは大きく出てますが初等的な線型代数の話です. |
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第8回 | 上別府 陽 氏 (島根大学) |
グラフboxicityとその応用について | 10月28日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 1号館7階 数学第2セミナー室 |
アブストラクト:
有限集合Vと,Vの2元部分集合をいくつか集めて得られる集合族Eとの対(V, E)をグラフ(graph)と呼ぶ。グラフの本質である組合せ構造はVの2元部分集合族Eに集約される。集合族Eによって定められた「Vの元の組」の解釈の仕方によって,グラフを扱う理論は様々な分野へ応用される。数学以外の学問でグラフが登場するときには,ある集合族のintersection graphを考えていることがしばしばある。特に興味深いものは,ユークリッド空間内のいくつかのboxで構成される集合族のintersection graphである。ここでは,n個のclosed intervalの直積集合をn次元ユークリッド空間内のboxと呼ぶ。 どんなグラフもあるk次元空間内のboxからなる集合族から定まるintersection graph(と同型)であることがわかる。このような値kで,最小のものをグラフのboxicityと呼ぶ。本講演では,グラフのboxicityに関わる基本的な結果の解説から始め,講演者が得た成果を含め,次の話題に触れる。 1. グラフのMycielskianのboxicity 2. 生態学におけるニッチ交差問題 -グラフのboxicityによる貢献-(余談?) 3. (Extra topic)整数計画問題の最適値として記述したグラフのboxicityとその線形緩和問題-グラフのfractional boxicityの導入- |
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第9回 | 上別府 陽 氏 (島根大学) |
グラフのMycielskianによるboxicityの挙動,boxicityの下界について | 11月18日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 1号館7階 数学第2セミナー室 |
アブストラクト:
平成27年10月末に実施した松江セミナー「グラフのboxicityとその応用について」における講演内容を基礎として,前回の講演で取り上げることができなかった講演者の成果を中心に紹介する。 【本頁内に記載の「前回の講演概要」も参照ください。】 1. グラフのMycielskianのboxicity 2. 整数計画問題の最適値として記述したグラフのboxicityとその線形緩和問題-グラフのfractional boxicityの導入- グラフのMycielskianは,グラフの彩色数を大きくするgraph operationの一つである。既存の結果として「与えられたグラフのboxicityが大きければ(最大boxicityに近ければ),グラフの彩色数も大きくなる」ことが知られている。一方,その逆にあたる主張は一般的に正しくはないが,いくつかの例で彩色数が大きいグラフのboxicityは大きいことがわかっている。グラフのMycielskianもそのような例の一つとして考えられる。 また,boxicityが大きいグラフの例が多く知られているわけではない。グラフのboxicityをある整数計画問題の最適値として記述できることから,boxicityのfractional analogueを導入する。これはboxicityの下界の一つを与えることを紹介する。 |
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第10回 | 坂根 由昌 氏 (大阪大学、大阪大学名誉教授) |
Einstein metrics on compact simple Lie groups | 12月1日(火) 16:30-17:30 |
総合理工学部 三号館六階 数理第2総合演習室 |
アブストラクト: コンパクト半単純リー群上の不変なアインシュタイン計量の研究は、1979年のD'Atri と Ziller の研究にはじまる。彼らはコンパクト単純リー群上の不変な計量の中で、naturally reductive となる計量の特徴付けを行い、多くの不変なアインシュタイン計量を構成した。また、コンパクト単純リー群上にnaturally reductiveでないアインシュタイン計量は存在するのかという問題を出した。この問題に対しての最近までの結果を解説したい。 | ||||
第11回 | 池田 創一 氏 (芝浦工業大学) |
ベルヌーイ多項式の様々な特徴づけについて | 12月11日(金) 15:00-16:00 |
総合理工学部 大学院棟七階 数学第3セミナー室 |
アブストラクト: ベルヌーイ多項式は整数論において重要な対象であり、古くから様々な好ましい性質を持っていることが知られてきた。それらの性質の中には、ベルヌーイ多項式を特徴づけ得るものがいくつか存在している。本講演では、古くから知られているベルヌーイ多項式の性質やそれによる特徴づけについて述べ、時間があれば講演者によるベルヌーイ多項式の新しい特徴づけの結果について触れたいと考えている。 | ||||
第12回 | 松岡 謙晶 氏 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科) |
Riemannゼータ関数とRiemann-Siegel関数 | 12月11日(金) 16:10-17:10 |
総合理工学部 大学院棟七階 数学第3セミナー室 |
アブストラクト: Riemann-Siegel関数はRiemannゼータ関数の臨界線上の零点を考える上で重要な関数です。この講演ではRiemannゼータ関数の入門的な内容とRiemann-Siegel関数の基本的な性質について講演する予定です。時間に余裕があれば、講演者の研究結果についてもお話しします。 | ||||
第13回 | 小浪 吉史 氏 (島根大学教育学部) |
Noncommutative Riemannian spin^c manifolds | 12月22日(火) 16:30-18:00 |
総合理工学部 大学院棟七階 数学第2セミナー室 |
アブストラクト: 量子力学などの要請から,非可換な幾何学の研究が進められている。その中でConnesによる定式化は興味深い。本講演では有限距離空間をtoy modelとしてnoncommutative Riemannian spin\({}^c\) manifoldsの定義を理解すること,Connesの非可換幾何学がどのように物理学に応用されているかを紹介する。 | ||||
第14回 | 庄司 邦孝 氏 (島根大学) |
Algebraic theory of semigroups -past and present- | 3月2日(水) 16:30-18:00 |
総合理工学部 三号館六階 数理第2総合演習室 |
アブストラクト: | ||||
第15回 | Li Jianxi 氏 (Minnan Normal University) |
The Normalized Laplacian Eigenvalues of Graphs | 3月4日(金) 16:30-17:30 |
総合理工学部 3号館6階 数理第2総合演習室 |
アブストラクト: The normalized Laplacian matrix of a graph was introduced by F. Chung in 1997. Its eigenvalues are closely related to almost all major invariants (such as diameter, clique number, Cheegers invariant, etc) of a graph, linking one extremal property to another. There is no question that normalized Laplacian eigenvalues play a central role in our fundamental understanding of graphs. In this talk, we focus on the study of the relationships between the normalized Laplacian eigenvalues of a graph and its structural properties, some results on normalized Laplacian eigenvalues of a graph, including its normalized Laplacian characteristic polynomial, normalized Laplacian spectral radius and normalized algebraic connectivity, are presented. This talk is based on the joint work with An Chang, Ji-Ming Guo and Wai Chee Shiu. |
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