
2010年度松江セミナー
講演者 | 題目 | 日時 | 場所 | |
第1回 | 松橋 英市 氏 (島根大学総合理工学部) |
Hereditarily indecomposable continuumの存在について | 5月19日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: Dimension theoryやcontinuum theoryにおける重要な未解決問題が、hereditarily indecomposable continuumと呼ばれる非常に複雑なコンパクト連結集合を用いて攻略されるケースがしばしば見受けられます。本発表ではHart,Mill,Polによる、高次元hereditarily indecomposable continuumの存在定理の証明を紹介します。 | ||||
第2回 | 門脇 聖 氏 (松江工業高等専門学校) |
アフィン α-分解可能 PBIB デザインの存在問題 | 6月9日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: ブロックデザインにおける分解可能性の構造は,数学的には1850年に考えられ,その統計的利用は1939年より始まった.また,この概念は1963年にα-分解可能性へと一般化されている.一方,実験計画法における種々のブロックデザインの中で,釣合い型不完備ブロックデザイン(BIB デザイン)と部分釣合い型不完備ブロックデザイン(PBIB デザイン)がよく扱われ,多くの研究者によってそれらのデザインの特徴づけや構成に関する研究が行われてきた.本講演では,主にアフィン 1-分解可能 2-アソシエート PBIB デザインに関する特徴づけ及び構成方法を紹介し,組合せ論的考察の有用性についても言及する. | ||||
第3回 | 藤井 忍 氏 (広島大学大学院理学研究科 兼 大阪市立大学数学研究所) |
Hermite対称空間の等方表現の運動量写像と球面内の等質等径超曲面 | 6月16日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: 本講演の内容は田丸博士氏 (広島大) との共同研究に基づく. 球面内の等径超曲面とは, 球面上の等径関数のレベル集合として定義される超曲面のことである. 球面上の等径関数はCartan-Munzner多項式と呼ばれる斉次多項式と対応する事が知られている. 本講演では, 4つの主曲率を持つ, 球面内の等質等径超曲面に対応するCartan-Munzner多項式の一部が, 階数2の既約Hermite対称空間の等方表現の運動量写像から構成できることを説明する. | ||||
第4回 | 青木 美穂 氏 (島根大学総合理工学部) |
代数体と函数体の類似について | 6月30日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: 本講演では, 岩澤理論のアイデアについて解説します. 岩澤理論は, イデアル類群などの代数的対象と, ゼータ関数などの解析対象という整数論の全く異なる研究対象の間に成り立つ理論です. この理論を岩澤健吉は, 代数体と函数体の間に成り立つ類似に着目して構築しました. 講演では, Weilの函数体における結果を紹介し, そこからどのように岩澤理論のヒントが得られたかを解説します. | ||||
第5回 | 山田 拓身 氏 (島根大学総合理工学部) |
Holomorphic vector fields on compact pseudo-Kaehler manifolds | 7月7日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: 1927年にH.Hopfは博士論文で、コンパクト多様体上の非退化なベクトル場の零点における指数の和はオイラー数と等しいことを示しました。(これは、ある種のベクトル場の存在が多様体に位相的条件を課すとも解釈できます。)なお、オイラー数は特性類の積分(特性数)で書けることが知られています。 その後、1967年にBottは複素多様体、あるいはリーマン多様体を考える事により、特性数と正則ベクトル場、または特性数とキリングベクトル場の関係を導きました。松島与三はこの結果とLichnerowiczの結果に触発され、Hodge多様体上の正則ベクトル場を考察することにより、Hodge多様体の正則ベクトル場とその(1,0)次ホッジ数との関係や、第1次チャーン類が0となるHodge多様体の構造定理を導きました。その後、Carrell-Liebermanにより、松島の結果の一部はコンパクトケーラー多様体の(p,q)次 ホッジ数に一般化されました。本講演では、上記の紹介とpseudo-Kaehler多様体の場合の考察についてお話いたします。 | ||||
第6回 | 青木 美穂 氏 (島根大学総合理工学部) |
代数体と函数体の類似について (パート2) | 7月14日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: 本講演では, 岩澤理論のアイデアについて解説します. 岩澤理論は, イデアル類群などの代数的対象と, ゼータ関数などの解析対象という整数論の全く異なる研究対象の間に成り立つ理論です. この理論を岩澤健吉は, 代数体と函数体の間に成り立つ類似に着目して構築しました. 講演では, Weilの函数体における結果を紹介し, そこからどのように岩澤理論のヒントが得られたかを解説します. | ||||
第7回 | 田邊 弘正 氏 (松江工業高等専門学校) |
ケーリー射影平面の等方的はめ込みとケーリー・フレネ曲線 | 7月21日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: ケーリー射影平面は、ケーリー代数(八元数)を用いて構成される16次元の階数1対称空間である.本講演では、ケーリー射影平面またはその非コンパクト双対の実空間形への等方的はめ込みの性質を調べ, ある種のフレネ曲線によって, ケーリー射影平面の実空間形への第一標準埋め込みの特徴づけを与える. | ||||
第8回 | 田中 立志 氏 (九州大学大学院数理学研究院) |
多重ゼータ値の一般導分関係式について | 10月13日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: まず, ニュートン級数を用いた解析的な議論から多重ゼータ値の川島関係式と呼ばれるものが証明されることについて概説します. その後, 金子やZagierによって予想されていた一般導分関係式は川島関係式を用いれば純代数的に証明できるという結果について述べたいと思います. | ||||
第9回 | 生田 卓也 氏 (神戸学院大学) |
Spin models constructed from Hadamard matrices (宗政昭弘氏との共同研究) | 11月17日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: スピンモデルはある条件を満たす正方行列 W で定義され, knot や link の invariants を定義できる。 スピンモデル W に対して,W^TW^{-1} は置換行列になることが知られており,その位数 を index と呼ぶ。 Jaeger-Nomura は,任意の Hadamard 行列から構成できる対称な Hadamard model を修 正することにより, index 2 の non-symmetric Hadamard model を見つけている。 この講演では,任意の Hadamard 行列から構成できる任意の偶数 index のスピンモデ ルが構成できることを解説し, 特に index が 2 べきのとき,我々のスピンモデルは新しい例であることを示す。 | ||||
第10回 | 嶺 幸太郎 氏 (筑波大学大学院数理物質科学研究科) |
関数環を通して見るコンパクト化の近似定理 | 12月8日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: 位相空間Xのハウスドルフ・コンパクト化による族には順序および近似の概念が定義され、その最大元であるストーン・チェックのコンパクト化を近似するための定理がいくつか知られています。今回の講演では、コンパクト・ハウスドルフ空間と単位的可換C*環との間の対応(ゲルファント・ナイマークの理論)をコンパクト化の話に限って読み直すことで、既存の近似定理を統一的に解釈する手法を紹介します。 | ||||
第11回 | 井原 健太郎 氏 (POSTECH) |
多重保型 L-関数の特殊値の間の関係式 | 1月12日(水) 16:15-17:45 |
総合理工学部 大学院棟 第2セミナー室 |
アブストラクト: 保型 L-関数のある特殊値は周期と呼ばれ、その間には線形関係式が存在することが知られていますが、その一般化として多重保型 L-関数の特殊値の間に存在する関係式について考察します。 |
過去の松江セミナー: 2009 年度 ・ 2008 年度 ・ 2007 年度